こんにちは、吉田です。
今回は、問題を解決し、「あなたが本当に手に入れたいモノ」を手に入れるための、『アウトカム』についてです。
アウトカムとは、NLP(神経言語プログラミング)の用語で、「望ましい状態」、「目標を達成する事で得られるもの」のことです。
例えば、「海外旅行に行きたい」という願望があったとします。
海外旅行に行っていない=現状 海外旅行に行くために解決しなければならないこと=問題 海外旅行に行くこと=目標 海外旅行に行くことで、あなたが得られるもの=アウトカム |
このように整理することができます。
「海外旅行に行く事で、得られるモノは何ですか?」この問いに答えるモノがアウトカムです。
つまり、アウトカムとは「目標のさらに先にあるもの」「目的」と言い換える事ができます。
問題思考と目的思考
なぜ、私たちはアウトカムを知る必要があるのでしょうか?
先ほどの事例で考えてみましょう。
私たちが現在の状態に不満や不安を持ち、そこから何らかの望ましい変化を起こしたいと考えるとき、大きく2つのパターンで思考します。
1つは、問題思考です。
問題思考とは、間違っているコト、望ましくないコトにフォーカスします。
・なぜこんなことになったのだろうか? ・いつからこうなったんだろうか? ・どこに問題があるのだろう? ・一体、誰のせいでこうなったんだろうか? ・いつまでこんなコトが続くのだろうか? |
これらの問題思考の質問は、「現在」か「過去」にフォーカスした質問の例です。
これらの質問は、「物理的な原因」や「問題の因果関係」を探るためにはとても有効な質問です。
ですが、こと「人対人に関するもの」「自分自身の内部対話」の場面では、あまりふさわしくないようです。
なぜなら、人対人に関する問題でこれらの質問を使うと「人を責める」「人に責任を押し付ける」「自分自身を責める」という答えを引き出してしまい、問題解決に向けてネガティブな感情を引き出してしまいがちだからです。
こちらの図で左下の状態が問題思考の状態です。
我々の直面する重要な問題は、その問題を作ったときと同じ考えのレベルで解決することはできない。 – アルベルト・アインシュタイン – |
現状に不満や不安があり、そこから何らかの望ましい変化を求めるなら、問題が起きた状態でその問題にフォーカスするよりも、まずはじめに手に入れたい「望ましい姿」「理想の姿」を明確に設定することが大切なのです。
これによって、今、問題として取り扱っていることが、「単なる現象」なのか、それとも理想を実現するための障害としての問題(解決すべき課題)なのかがはっきりするのです。
また、アウトカムが設定されると、現在とアウトカムのギャップに気づく事が出来ます。このギャップこそが、解決すべき課題であり、裏返せばアウトカムを手に入れるための達成すべき目標となるのです。
アウトカムの構造
アウトカムを設定するためには、10個のパワフルな質問と、その質問の答えに対するいくつかのポイントがあります。
では、ひとつずつ具体的に入っていきましょう。
質問1:「あなたは具体的に何が欲しいのですか?」NLPを学ぶ過程で何度も登場するのがこの質問です。ここでの答えを考える際に、いくつか条件があります。 ポイント:肯定的に表現する アウトカムは必ず肯定的に表現されます。本当に欲しいモノに向かって行くという意味です。 例えば、「タバコをやめる」というのは否定的な表現です。「肺をきれいにする」というなら肯定的な表現ですね。 同じように「太りたくない」「経費を削減する」というのは否定的、「スリムな身体を手に入れる」「効果的な予算管理をする」なら肯定的です。
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質問2:「あなたはいま、どこにいますか?」ここでは、現在の状態をあきらかにします。いま、どんな状態なのか?何が起きているのか?これらを客観的に見てみます。 「◯◯で、◯◯をしている自分の姿が見える」 例えばこのように客観視することで、現状にドップリ浸かった状態から自分を分離させることが出来ます。 ここでは、ポジティブな面もネガティブな面も全て客観的に見て、感じてみましょう。 アインシュタインの言葉にあるように、問題と同じ状態レベルにいるときには、問題を解決することは出来ないのです。 そして、現在を客観的に知ることで、アウトカムとのギャップが初めて明らかになるのです。 カーナビを設定する時に、現在地点が分からなければ、ゴールへの道筋は示す事が出来ませんよね? |
質問3:「あなたはそれを手に入れた事をどのようにして知りますか?」ここではアウトカムを手に入れたとどうやってわかるのか?(証明)を明確にします。 ここでは2つポイントがあります。 1つ目は、アウトカムに順調に近づいているとどのようにして分かるのか?(プロセスの証明) 2つ目は、アウトカムを手に入れたとどのようにして分かるのか?(結果の証明) です。 そして、この2つを「感覚」を交えて明確にしていきます。 つまり、手に入れた時に、何を見て、何を聞いて、何を感じるのか?という質問を通して、アウトカムを手に入れたことを一度味わって見るということです。 これは、とてもパワフルなNLPの質問です。手に入れた時に臨場体験してみるということです。 これをすることで、本当に今すぐにでも手に入れたくなるのです。 |
質問4:「具体的に、いつ、だれと、どこで手に入れたいですか?」もしかしたら、そのアウトカムを欲しいと思えない状況があるかも知れません。ある特定の状況下だからこそ欲しいと思うだけなのかも知れません。 それらをここで具体的にしていきます。 |
質問5:「それを手に入れるためのリソースを持っていますか?」リソースとは、アウトカムを手に入れるための助けになるもの全てです。資源と言い換える事もできるでしょう。 例えば、人脈、経験、信念、能力、戦略、モノ、時間、環境などです。 もしもあなたが、あなたの欲しいと思っているアウトカムを既に手に入れている人を知っているなら、それは強力なリソースになります。その人からアウトカムを効率的、且つ確実に手に入れるための方法を教えてもらう事ができるからです。 あるいは、あなたがアウトカムを手に入れるためにやらなければならないことを、以前にやったことがあったり、手に入れるために必要なモノを持っていたなら、それもパワフルなあなたのリソースとなるでしょう。 もし、何もリソースが思い当たらないなら、新たにどんなリソースが必要なのかを明らかにします。そうすることで、そのリソースを手に入れることが、一つの解決すべき目標となります。 |
質問6:「そのアウトカムを一貫して欲しいと思いますか?」あなただけがアウトカムの実現に関与しているのでしょうか?そうであれば、アウトカムを一貫して欲しいと思う事は、あなたのパワフルなモチベーションとなります。 しかし、そうでないなら、あなたはモチベーションを維持するための何らかの手だてを考えておかなければなりません。なぜなら、あなたが直接コントロールできない何かが突然起きる場合があるからです。 その場合、もしかしたら、あなたはアウトカムを手に入れるために、何かを犠牲にする必要があるかも知れません。それらを予め確認し準備しておくことで、アウトカムに向かい続けることだできるようになるということです。 |
質問7:「何のために、それが欲しいのですか?」 |
質問8:「そのアウトカムを手に入れることは、あなたにとってふさわしいものですか?」これはアイデンティティに関わる質問で、エコロジー・チェックも含んでいます。自分らしいと感じているなら、どんな障害があったとしても、それを乗り越えるためのモチベーションを維持し続けることができるでしょう。 何故なら、アイデンティティとは「あなた自身」のことだからです。 もし、この質問で、何らかの違和感、不一致感を感じるなら、こんな質問を更に問いかけて下さい。 「このアウトカムを手に入れる事で、私はどうなりたいのだろうか?」 これもアイデンティティに関する質問です。 もし質問に対するあなたの答えが、あなたの望む姿と不一致ならば、アウトカムを設定し直す必要があるでしょう。 |
質問9:「アウトカムの達成を妨げているモノがあるとしたら、それは何ですか?」アウトカムがとてつもなく大きくて手に負えそうにないものであれば、アウトカム実現に向けてのモチベーションはなかなか高まらないでしょうし、それが小さ過ぎても同様ですね。 ここでは、実現に向けたあなたのモチベーションを最終確認します。 「かなり難しいけど、やってやれないことはない」「自分が挑戦してみるのにふさわしい」 この位のアウトカムから始めるのが、モチベーションを高い位置で維持するのには丁度いいようです。 |
質問10:「はじめの一歩は何ですか?」具体的な一歩を踏み出す事で、現在の状態から変化することができます。行動がなければ、何も変化しません。 PDCAのマネジメントサイクルでいうなら、P(プラン)の部分ですね。後は実行あるのみということです。 |
アウトカム思考のまとめ
あなたも、こんなイソップ物語を読んだ事があるでしょう。
【カラスと水差し】 ある所に、世界を旅しているカラスがいました。 ある日、旅の途中でカラスは喉がからからに乾いてしまいました。 カラスが水を探して飛んでいると、街角の道路に水差しを見つけました。 でも、水差しの中には水が少ししか入っていないので、カラスはくちばしが届かずに水が飲めません。 カラスは水差しを傾けて飲もうとしましたが、それも上手くいきません。 カラスは喉がからからでたまらなくなりました。目の前に水があるのに飲めないことにとても悔しがりましたが、それでもカラスは絶対に飲もうと諦めません。 ふと水差しから地面に視点を映すと、沢山の小石がありました。 そこでカラスはひらめきました。 水差しに小石を入れたのです。 水差しに小石を入れる事で水面がだんだんと上がり、とうとうカラスは水を飲む事ができました。 |
アウトカム達成に向けたプロセスは、このイソップ物語のカラスの取った行動(行動するための思考)と同じようなものかも知れません。
カラスには、旅を続けるというアウトカムがあり、喉が渇いたという現状に不満を持ちました。ここでの問題は、カラスは水を持っていないということです。
そこで、カラスはアウトカムを実現するために「水を探し、水を飲むことで喉を潤す」という肯定的な目標を設定したわけです。
カラスのリソースとしては、水差しの水、感情に流され自暴自棄にならない心、諦めない根気強さ、生活の知恵、想像力、そして柔軟性がありました。
もし、このカラスが、問題思考に捉われていたらどうだったでしょう?
「どうして喉が渇いたんだろう?しょっぱい物を食べ過ぎたせいかな?」 「水筒を持ち歩かない自分が馬鹿だった、、、」 「喉が渇くのは太陽が照りつけるせいだ」 |
こんなことばかり考えたのではないでしょうか?そして、太陽を睨みつけながら、あるいは、自問自答を繰り返しながら飛んでいたのではないでしょうか?
これでは、道路に水差しがあることに気づく事は出来なかったかも知れません。
アウトカムを設定することは、あなたを現状の不満や問題からあなたを分離させ、あなたを別なステージへと運ぶためのツールにもなります。
ぜひ参考にしてみて下さい。
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